隔離病棟にまた一人廃人が増えた。
年は30くらいで、眼鏡と髭がいかにも怪しいオーラを出している。。

俺は本能的に自分から話しかけるのは避けた。
デキの例もあるし、面倒が増えるのも嫌だったので。

そう思い、黙々と中小企業診断士の勉強に精を出していた。
基本的に俺は、起床から消灯までこの「中小企業診断士」の勉強を、大広間の端でひたすらやっている。
その合間にデキと絡んだり、筋トレしたり、PCいじったり、本読んだりと、意外と一日を退屈せずに過ごせているのだ。
・・・むしろ、世間のプレッシャーから開放され、好きな時間だけ自分のために勉強できるという環境に感謝さえしている。

さすがB型。ポジティブ。いい加減。

そんな中小企業診断士の勉強中。。
孤独なオーラをビンビンに出しながら、その怪しい30くらいの髭眼鏡は俺に話しかけてきた。

そう。昔から何故か知らない人に絡まれる。
困ってそうな老人・外国人・廃人。
俺は絡みやすいらしい。

またか・・・。と思いながらも、俺はその髭メガネを相手にした。
カムの客の岩久保を覚えているだろうか?
彼が髭をはやして、より怪しいオーラを放った感じだ。
メガネは佐々木にも似ているので、
彼を「裏の佐々木・・・佐々裏」と呼ぶことにした。

佐々裏「何の勉強してるの?」
俺「中小企業診断士です。」
佐々裏「ん?何それ? 何になりたいの?」
俺「え~。簡単に言うと「経営コンサルタント」になるためのステップですね。」
佐々裏「ん?俺。経営コンサルだよ!!」
俺「まじすか!?凄いっすね!!」
…中小企業診断士の資格を知らない経営コンサルがいるわけない。
 100%しゃみせんだ。
 名前:佐々裏
 年齢:35くらい 
 趣味:はったり 
 視力:悪い 
 頭 :悪い 
 体調:結核
 
会って10秒で、このデータがたたき出された。
おもしろそだから、そのまま会話を続けてみた。
俺「じゃあ、金めちゃくちゃ儲かってそうですね。なんで個室行かなかったんですか?」
佐々裏「え!?・・・いや、最近景気がね~。昔は儲かったんだけどね。」
俺「そうですよね。業界景気悪いですもんね?どこの会社の方なんですか?」
佐々裏「ん?・・・俺。うら。。うん。裏コンサル!!」
俺「は?裏?(やっぱお前は佐々裏だ!)。さすがですね。」

・・・しばらくの沈黙の後、いきなり俺の隣でタバコを吸いだす。
俺「!!??」
佐々裏「いや~。高校時代を思い出すね。こうやって隠れて吸ったよね?」

とんだ裏コンサルだ。
ツッコミ所満載のコメントに、俺の選択肢は「逃走」の2文字だった。

俺「おやすみなさ~い。」

・・・明日から、また面倒臭くなりそうじゃ。。